肢体の機能の障害に関する認定基準
肢体の障害による障害の程度は、「上肢の障害」、「下肢の障害」、「体幹・ 脊柱の機能の障害」及び「肢体の機能の障害」の4つに区分されています。肢体の機能の障害に関する認定基準は下記のとおりです。
程度 | 障害の状態 |
1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
認定要領(ポイント・留意点)
1.肢体の障害が上肢及び下肢などの広範囲にわたる障害(脳血管障害、脊髄 損傷等の脊髄の器質障害、進行性筋ジストロフィー等)の場合には、肢体の認定基準「上肢の障害」、「下肢の障害」、「体幹・脊柱の機能の障害」に示した認定基準と認定要領は使わずに、ここで記載する「肢体の機能の障害」として認定します。
※対象傷病の一例として、脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)、脳腫瘍、脊髄損傷、多発性硬化症、パーキンソン病、重症筋無力症、筋ジストロフィー、関節リウマチなどがあります。
2.肢体の機能の障害の程度は、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定します。
なお、他動可動域による評価が適切ではないもの(例えば、末梢神経損傷を原因として関節を可動させる筋が弛緩性の麻痺となっているもの)については、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定します。
3.各等級に相当すると認められるものを一部例示すると下記の通りとなります。
程度 | 障害の状態 |
1級 | ①一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの ②四肢の機能に相当程度の障害を残すもの |
2級 | ①一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの ②四肢に機能障害を残すもの |
3級 | 一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの |
なお、肢体の機能の障害が上肢及び下肢の広範囲にわたる場合で、上肢と下肢の障害の状態が相違する場合には、障害の重い肢で障害の程度を判断して認定をします。
4.日常生活における動作と身体機能との関連は、厳密に区別することができませんが、おおむね次のとおりとなります。なお、日常生活における動作は、杖や補助具などを使用しない状態で評価することになっています。
【手指の機能】
①つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)
②握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
③タオルを絞る(水をきれる程度)
④ひもを結ぶ
【上肢の機能】
①さじで食事をする
②顔を洗う(顔に手のひらをつける)
③用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
④用便の処置をする(尻のところに手をやる)
⑤上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
⑥上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)
【下肢の機能】
①片足で立つ
②歩く(屋内)
③歩く(屋外)
④立ち上がる
⑤階段を上る
⑥階段を下りる
なお、手指の機能と上肢の機能とは、切り離して評価することなく、手指の機能は、上肢の機能の一部として取り扱います。
5.身体機能の障害の程度と日常生活における動作の障害との関係を参考と して示すと、下記の通りとなります。
①「用を全く廃したもの」とは、日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない場合」又はこれに近い状態を指します。
②「機能に相当程度の障害を残すもの」とは、日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが 「一人でできるが非常に不自由な場合」を指します。
③「機能障害を残すもの」とは、日常生活における動作の一部が「一人で 全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」を指します。
肢体の機能の障害に関する障害認定基準(原文)
障害認定基準のうち、肢体の機能の障害に関する認定基準(原文)はこちらからご確認いただけます。
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