代謝疾患による障害の認定基準
代謝疾患による障害の認定基準は下記のとおりです。
程度 | 障害の状態 |
1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの |
代謝疾患による障害の程度は、合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態、治療及び症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考慮し、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものになります。
認定要領(ポイント・留意点)
1.代謝疾患は、糖代謝、脂質代謝、蛋白代謝、尿酸代謝、その他の代謝の異常に分けられるが、認定の対象となる代謝疾患による障害は糖尿病が圧倒的に多いため、糖尿病の基準を定められています。
2.糖尿病とは、その原因のいかんを問わず、インスリンの作用不足に基づく糖質、脂質、タンパク質の代謝異常によるものであり、その中心をなすものは高血糖となります。 糖尿病患者の血糖コントロールの困難な状態が長年にわたると、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性壊疽等の慢性合併症が発症、進展することとなります。
糖尿病の認定は、血糖のコントロール状態そのものの認定もあるが、多くは糖尿病合併症に対する認定になります。
3.糖尿病による障害の程度は、合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態、治療及び症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考慮し、総合的に認定されます。
4.糖尿病による障害の程度を一般状態区分表で示すと下記のとおりになります。
区分 | 一般状態区分 |
ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの(軽い家事、事務など) |
ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、 軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
エ | 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能とな ったもの |
オ | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
5.糖尿病については、必要なインスリン治療を行っても血糖のコントロールが困難なもので、次のいずれかに該当するものを3級と認定されます(※検査日より前に90日以上継続して必要なインスリン治療を行っていることについて、確認のできた者に限り、認定を行う)。なお、症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定されます。
①内因性のインスリン分泌が枯渇している状態で、空腹時又は随時の血清Cペプチド値が0.3ng/mL未満を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
②意識障害により自己回復ができない重症低血糖の所見が平均して月1回以上あるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
③インスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシス又は高血糖高浸透圧症候群による入院が年1回以上あるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
6.糖尿病性網膜症を合併したものによる障害の程度は、「第1節 眼の障害」の認定要領により認定し、糖尿病性壊疽を合併したもので、運動障害を生じているものは、「第7節 肢体の障害」の認定要領により認定されます。
糖尿病性神経障害は、激痛、著明な知覚の障害、重度の自律神経症状等があるものは、「第9節 神経系統の障害」の認定要領により認定し、糖尿病性腎症を合併したものによる障害の程度は、「第12節 腎疾患による障害」の認定要領により認定されます。
7.その他の代謝疾患は、合併症の有無及びその程度、治療及び症状の経過、一般検査及び特殊検査の検査成績、認定時の具体的な日常生活状況等を十分考慮して、総合的に認定されます。
代謝疾患による障害の認定基準(原文)
障害認定基準のうち、代謝疾患による障害の認定基準(原文)は、こちらからご確認いただけます。
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